新NISAと若い世代のマネー
新NISA(少額投資非課税制度)がスタートして、はや一ヶ月余りが経ちました。
新NISAは、個別株と投信を購入できる「成長投資枠(年間240万円)」と、投信を毎月積み立てる「つみたて投資枠(年間120万円)」があり、併用すれば年間360万円までの非課税投資が可能になります。
また、新NISAは、非課税の保有限度額を増額(成長投資枠1,200万円・全体1,800万円)し、運用期間を無期限化したため、個人の資産形成を強力に後押しする制度に生まれ変わりました。
最近の株高に加えて、将来年金だけでは老後を安心して暮らすことができないと知った、若い世代のマネーが、続々と新NISAに向かっているそうです。
もっとも、新NISAの若い世代の人気の商品は、米国など外国株式を組み入れた投資信託に集中しているようです。
外国株式の投資は、様々なリスク・リターンの選択肢から、自分に合った投資先を選ぶことができるという意味では大正解です。
しかし、見方を変えれば、日本の若い世代が、日本の企業の成長に期待していないという事実の裏返しでもあります。
半世紀以上も前に、経営の神様といわれる松下幸之助翁は、健全な個人株主を増やし、国民全体で経済と社会の活性化を図ることが重要だと説きました。
多くの国民が株式を中長期保有するようになれば、経済成長の成果を広く国民が享受し、社会全体として好循環を実感できるようになると考えたのです。
先週16日の東京株式市場の日経平均株価は一時、1989年12月29日の最高値(3万8915円87銭)にあと50円程度まで迫りました。
今後、若い世代のマネーが貯蓄から投資へと向かっていき、資本市場を通じて日本企業の成長を促し、成長の成果が投資した一人ひとりに還元される流れを作らなければなりません。
政府や資本市場に関わる人々は常にこの目標を忘れずに、若い世代の関心を日本企業に振り向けるような様々な取り組みをすることを期待しています。