ニッチ戦略
経営資源が限られている中小企業では、小規模マーケットを狙う、ニッチ戦略が有効です。
ニッチ戦略は、あえて限定的な消費マーケットをターゲットにすることで、大手企業が参入しづらいという利点を活かすことができます。
そして、大手企業が得意とする低価格競争に巻き込まれることなく、限られた経営資源を自社の商品開発やブランド構築に集中できるのです。
とはいえ、中小企業がニッチ戦略を採用するうえでは、ターゲットとする消費マーケットが小さいがゆえに、非常に不安定なマーケットを相手にビジネスしている点は熟知しておかなければいけません。
小規模のマーケットは、常に存在し続けるとはいえず、何かのきっかけで一気に消えてしまうことがあります。
また、環境が変化して消費者需要が拡大すると、成長が期待できる有望マーケットとして、大手企業の参入を招くことになります。
そのため、ニッチ戦略では、かりに戦略があたって高収益を得られたとしても、その収益は一過性のものだという危機感が重要です。
そもそも、小規模のマーケットを相手にするビジネスには、売上高の上限があります。
また、自社ビジネスの成功は、他の中小企業から見れば、とても魅力的なビジネスに映るでしょう。
その場合、競合する他社がマーケットに追加参入して、ただでさえ小規模の需要を両社で奪い合う恐れもあります。
ニッチ戦略は中小企業向きの戦略です。
しかしながら、ニッチ戦略を実際に採用するうえでは、ターゲットであるマーケットの日々の変化を見逃さず、競合他社の追加参入に備えて、自社商品の差別化や低コスト化の努力を継続する必要があります。