金利の正常化
1ドル140円から1ドル160円までの急激な円安は、物価を押し上げ、個人の消費マインドの強い向かい風となっています。
一方、円安を防止するための早期利上げは、企業の借金や個人の住宅ローンの金利負担を増やし、国の財政を圧迫するなど、弊害が予想されています。
これまで日銀は、過度な円安を食い止めるために早期の利上げを実施するのか、それとも景気に出来るだけ配慮して利上げの時期を遅らせるのか、二者択一の難しい決断を迫られてきました。
先週18日の参議院財政金融委員会では、植田日銀総裁が入手可能なデータ次第と前置きしながらも、次回7月の金融政策決定会合での利上げも十分にあり得ると発言しました。
かりに日銀が追加の利上げを実施すれば、先のドル売り円買いの為替介入に続いて、円安の流れを変えることができるかもしれません。
しかし、今回追加の利上げを実施しても、ふたたび円安の動きが強まれば、日銀は更なる追加利上げを市場から迫られることになります。
金利の上昇は、日本経済を圧迫する要因です。
しかし、正常な水準まで金利を引き上げることは、日本経済の新陳代謝を進めることも事実です。
過度の円安が企業活動や個人消費に悪影響を及ぼすのであれば、正常な金利負担に耐えられない生産性や収益力の低い企業が退出するのはやむを得ません。
日銀が迫られる追加利上げの決断は、日本経済を正常な競争環境に戻す一歩と捉えるべきです。