欠損法人割合
国税庁は、税収入の見積りや税制改正などの基礎資料とするため、毎年、法人企業の実態調査(会社標本調査)をしています。
国税庁が、6月に公表した調査結果(令和4年度分)では、利益を計上した法人全体の営業収入金額(売上高)は1,295兆8,609億円、所得金額は80兆359億円、営業収入金額に対する所得金額の割合は6.2%でした。
かりに、会社の所得金額に対する法人税、住民税及び事業税の税率を30%とすると、今回の調査結果から、営業収入金額に対する税引後利益の割合を6.2%×(1-0.3)=4.34%と計算することができます。
企業の収益性を測る指標である純利益率(税引後当期純利益÷売上高)は、業種や規模で多少異なるものの、5%が良好な状態といえることから、日本全体で4.34%の数値は悪いものではありません。
一方、同じ調査で報告された日本全体の欠損法人の数は177万7,413社あり、連結子法人を除く法人全体の数290万9,847社に対する割合(欠損法人割合)は61.1%というものでした。
近年、欠損法人割合は、コロナ禍の影響で一時的に悪化した年を除くと、毎年改善傾向にあります。
しかし、日本全体の法人の6割以上が、未だに赤字(欠損)という状況は深刻に考える必要があります。
今後も、コロナ関連の支援の縮小・終了が進むうえ、急激な円安と物価高、人手不足に伴う人件費の高騰などが、赤字法人(欠損法人)の収益を圧迫する状況が続きます。
国は、日本経済の新陳代謝を積極的に促進して、日本全体の6割以上の法人が赤字(欠損)という状況をいかにして改善するのか、経済政策の抜本的な見直しが必要といえます。