個人支払いと所得税の源泉徴収
会社が社員に給料を支払ったり、弁護士に顧問報酬を支払うときは、支払う金額から所得税(復興特別所得税を含む)を差し引くことになっています。
これを所得税の源泉徴収といいますが、月払いや定期支払いなどで源泉徴収をし忘れることは、まずありません。
しかし、たまにしかない個人への支払いでは、源泉徴収もれを起こしやすいので、注意が必要です。
源泉徴収もれを起こしやすい個人支払い
個人への報酬・料金の支払いで、源泉徴収もれを起こしやすいものには、たとえば、次のようなものがあります。
・イラストや原稿の報酬
・写真の撮影料
・イベントや会議の講演料
・ポスターやパッケージのデザイン料
・ディスプレイやショーウィンドウの装飾料
・語学や技能・資格の指導料
これらの仕事は、個人が本業・副業で営むことがあり、評判の良い人や実績のある人を会社が知っていれば、個人に直接発注することになります。
ただ、社労士や司法書士などの資格持ちとは違って、そうした個人は請求書を作ってなかったり、作ったとしても自分から所得税は差し引かないので、会社が気づかないと源泉徴収をしないまま報酬・料金を満額支払うことになります。
納付もれのペナルティ
前述のイラストや原稿の報酬などは、社員の給料や弁護士の報酬とは違って、たとえ所得税の納期の特例(年2回納付)の適用を受けていても、源泉徴収した所得税はその報酬・料金を支払った日の翌月10日までに納付しなければなりません。
そして、源泉徴収した所得税が翌月10日までに納付されない場合は、納付税額の10%に相当する不納付加算税がかかることになります。
ただし、税務署から指摘される前に気がついて自主的に納付をすれば、不納付加算税は10%から5%に軽減することができます。
また、この1年間は所得税の納付もれがなく、かつ今回だけ納期限に間に合わなかった場合は、1ヶ月以内に所得税を納付すれば不納付加算税はかかりません。
たまにしかない個人への支払いでは、所得税の源泉徴収もれを起こしやすく、納付しなかったときのペナルティ(不納付加算税)も大きいので、個人に報酬・料金を支払うときは所得税の源泉徴収があることを、気に留めておきましょう。