役員給与の注意点その1
株主と役員が同一の会社は、社長が自分の給与を自由に決めることができます。
こうした会社で、もし役員給与をすべて損金にできるとしたら、会社の所得をゼロにすることが可能です。
そのため、税法は、過大な役員給与について損金の算入を認めていません。
役員給与の金額を決めるときは、以下の点に注意しましょう。
法律の手続き
役員給与は、法律で、定款や株主総会で定めることになっています。
どんなに小さな会社でも、この手続きを怠ってはいけません。
定款を見直していない、株主総会を開催していない、議事録を作成していない、などは問題です。
もし、支給した役員給与が定款や株主総会で定めた金額を超えてしまうと、その超える部分は過大な役員給与となります。
法律で決められた手続きには、漏れのないようにきちんと対応しておきましょう。
給与は仕事の対価として相当か
役員給与か過大かどうか、実質的にはどのように判断するのでしょうか?
税法では、以下の点などから判断するとしています。
・役員の職務内容
・法人の収益状況
・使用人に対する給与の支給状況
・同業種同規模法人の役員給与の支給状況
しかし、これらは抽象的で、なにか指標がないと判断することができません。
過去の判例や裁決をみると、非常勤の役員給与について月額10万円から15万円を相当と認めているものがあります。
・平成9年9月29日裁決 年額116万円、122万円、180万円を相当と認容
・平成17年12月19日裁決 年額118万7千円、186万円を相当と認容
また、役員給与と法人の収益状況、使用人に対する給与の支給状況については、法人の売上総利益や営業利益、経常利益はいずれも減少して使用人給与に変化がないにもかかわらず、役員給与のみが増加しているとして問題になった判例があります。
・残波事件 東京地裁平25年(行ウ)第5号・東京高裁平28年(行コ)第205号
まとめ
株主と役員が同一の会社では、役員の給与を自由に決めることができるため、給与が過大とならないように気をつける必要があります。