商品の値上げと付加価値の創出

エネルギーや原材料、人件費などのコストの上昇によって、多くの企業が、商品・サービスの値上げを強いられています。

企業が値上げを検討する際には、付加価値という言葉がよく使われます。

その理由は、一般に、付加価値がある商品・サービスの場合は、消費者が値上げを受け入れる可能性が高いからです。

たとえば、デザインが素敵な商品や便利な機能がついている商品について、消費者がデザインや機能を気に入って商品を購入することはよくあります。

これは、商品の価値が消費者に伝わり、消費者がその価値を欲しいと感じることで購買意欲が高まるため、商品の価値が消費者の購買行動の決め手になることを意味します。

一方、コストパフォーマンスが良いとか、価格が安いという理由で、消費者に選ばれる商品には付加価値があるとはいいません。

消費者からみれば、付加価値がある商品も、価格が安い商品も、それぞれ魅力があるので実際に購入しますが、商品の付加価値の有る無しは、商品の値上げをする際には、大きな違いとなってあらわれます。

低価格のジレンマ

消費者に低価格をアピールして売り上げを伸ばす商品で値上げをすると、売り上げは大きく落ち込みます。

消費者からすれば、商品の魅力は価値ではなく価格ですから、当然の結果といえます。

そのため、低価格の商品でやむなく値上げをする場合には、消費者ができるだけ割高に感じないように細心の注意が払われます。

よく、価格はそのままにして商品の中身を変える戦術がとられますが、背景にあるのはこうした理由です。

また、値上げをできるだけ少なくするために、外注費や人件費を削減したり、業務を効率化するなど、コストを削る努力を欠かすことができません。

ですが、商品の中身を変えるにしろ、コストを削るにしろ、限界があります。

そのため、消費者に低価格をアピールする商品では、コストが上昇するたび、会社は常に厳しい対応を迫られることになります。

付加価値の創出

会社が利益を上げるためには、商品・サービスの価値を増やす努力が欠かせません。

なぜなら、商品・サービスの価値を増やす経営では、価格を追求する経営とは違い、やるべきことに制限はありません。

たとえば、飲食店やホテルの場合には、通常の飲食・宿泊に記憶に残るような体験を加えることで、サービスの価値を変えたり、増やしたりすることができます。

あるいは、モノをつくる製造業の場合には、今までにはなかった新しい材料を使ったり、新しい製法を用いることで、既存の製品の価値を変えたり、新たな価値を加えることができます。

このように、既存の商品・サービスに新しいアイデアや新しい技術を組み入れることで、常に変化し続ける消費者ニーズに応える、新たな価値を商品・サービスに吹き込むことは可能です。

そして、こうして吹き込まれた価値を、消費者にきちんと伝えることができれば、商品・サービスの値上げは決して難しいことではなくなるはずです。

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