公的年金制度の改革
公的年金制度の改革をめぐり、様々なニュースが報道されています。
その一つは、公的年金のうち基礎年金の受給額を底上げしようというものです。
厚生労働省によると、日本経済がこのまま横這いで推移すると、将来の基礎年金の受給額は現在よりも3割程度目減りするそうです。
そのため、厚生労働省は、厚生年金の積立金と国庫負担(税金)を活用して基礎年金の受給額を底上げする案を提示しました。
しかし、この案では、厚生年金の受給額が一定期間現在よりも下がることや、年間1〜2兆円程度と見込まれる国庫負担(税金)の追加財源が必要となることから、今回は先送りされる模様です。
また同様に、会社員の配偶者(被扶養者)が年金保険料を納めなくても基礎年金を受け取れるという第3号被保険者制度の縮小・廃止についても、本格検討は見送られます。
第3号被保険者制度は、夫婦共働きが当たり前となりつつある現在にあって、専業主婦の保険料負担を免除することへの疑問と不満、また、パートで働く主婦が会社員の被扶養者から外れないようにするために年間の労働時間を抑えているという指摘があります。
しかし、厚生労働省は、本制度の縮小・廃止については、その影響の大きさを憂慮して及び腰です。
現在は約700万人ほどがいる第3号被保険者について、制度の縮小・廃止が決定すると、対象者は新たに国民年金に加入する必要があり、年金保険料を支払う必要が生じます。
しかし、対象者の専業主婦の中には、収入が全くない人も数多くいるだけに、世論の反発が予想され、制度の縮小・廃止はハードルが高そうです。
現在、いくつか報道されている公的年金制度の改革に関するニュースの中で、最も実現度の高いものというと在職老齢年金制度の改正です。
在職老齢年金制度は、会社で働く年金受給者の月収が一定の基準額を超えると、支給されている年金の一部または全額がカットされるという制度です。
今回の制度改正では、会社員が負担する厚生年金の保険料の上限を月額9千円程度引き上げ、これを原資として、年金がカットされる月収の基準額を50万円から62万円へと引き上げる案が有力です。
今回の制度改正は、働く高齢者が増えていることへの対応や、企業の人手不足解消に向けた対策の一つといえます。
公的年金制度は、すべての国民の老後に関わるものです。
時代の変化にあわせて制度内容を適時改革していくことはもちろん重要ですが、それよりも、現在の制度が抱える問題を国民にわかりやすく説明することのほうが、何よりも重要です。