値引き・販促のリスク
消費者を値引きや販促によって刺激して、売り上げを伸ばす戦略があります。
衣類やファッションの季節セールや、習い事や美容サービスの初回限定お試し価格などが、その代表例です。
これらの戦略に共通するのは、一時的な赤字を我慢して将来の利益を増やすという投資の考え方です。
商売の基本は、赤字につながる出費を抑えるのが第一です。
しかし、時には、あえて損をして得を取ろうという攻めの戦略にでることもあります。
どれほど自社の商品・サービスが優れていても、消費者が知らなければ実際の売り上げにはつながりません。
まずは消費者に知ってもらうために、値引きや販促で注目を集めるのです。
しかし、値引きや販促を何年も続けているのに、有りもしない売り上げを追うばかりで、一向に利益が上がらない会社が少なくありません。
一般に、値引きや販促で来店する顧客は、固定客になりづらいといわれています。
値段の安さが魅力で来店する顧客には、値段以上の魅力を商品・サービスに感じさせることができないと、次も来店してくれるリピート客とはならないのです。
そのため、値引きや販促が成功している会社は、値引き・販促を単なる希望的観測で続けるのではなく、現実の結果を踏まえてやり方を見直しています。
たとえば、実施した値引き・販促と、顧客に訴求する商品・サービスの内容、顧客のリピート率の関係を毎回分析して、その効果を測定し、商品・サービスの改良と値引き・販促の確度を高めていきます。
そして、その作業を何回も繰り返し実施することで、自社に最適の損して得取れの手法を確立していきます。
値引きや販促が、会社にとってリスクがある投資である以上、そのリスクをきちんと計算することは欠かせません。
経営者は、値引きや販促が常態化(マンネリ化)するリスクの怖さを十分に理解しておくことが大事です。