リスクに対する感度
米テクノロジー系スタートアップへの融資で知られるシリコンバレーバンク(SVB)が経営破綻しました。
米金融当局は速やかにSVB預金者の完全保護を公表しましたが、経営破綻の影響は欧州に飛び火しました。
スイスの金融大手、クレディ・スイス・グループの経営不安が再燃して、株価が急落したのです。
私たちは、リスクという言葉を、何か悪い事が起こる可能性や予想通りにいかない危険を示すときに使いますが、正確には、将来いずれかのときに起こる不確定な事象とその影響を意味します。
リスクは現時点では潜在的なものですが、将来のある時点でリスクが顕在化したときには、解決が必要になる事象でもあります。
今起こっていることと、これから起こるかもしれないことを比べると、今起こっていることの方が重要なのは当たり前です。
ですが、だからといって、これから起こるかもしれないことを軽視して、何もしておかなくて良い、と考えるのは問題です。
世の中には、リスクを過小に見積もり、適切なリスク対策を立てていなかったために、被害が大きくなってしまったという事例がたくさんあります。
新型コロナウイルスの蔓延やロシアのウクライナ侵攻でも、多くの事業者がこれまでに経験したことがないような大きな損害を受けています。
私たちは、そういう未知の事象が発生して大きな損害を受けたとき、想定外という言葉を使って自己擁護してきました。
しかし、未知の事象に対する予見可能性を高めたり、事前の対応策を準備しておくか否かが、実際の損害の差につながることは良く知っています。
未知の事象の発生による被害を軽減するには、その予兆を予見し、さまざまな対応策を準備して、被害を吸収する行動をしていくことが効果的です。
予兆の予見には、自社の価値観だけでなく、変化の激しい社会環境も十分考慮して、何がリスクの発生につながるのか、常にアンテナを張っておくと良いでしょう。
また、自社では問題がないと認識していることでも、大きな被害につながることもあります。
日頃から、さまざまな情報を社外からも収集して、リスクに対する感度を高めておくことが大切です。