消費税の免税販売
消費税の免税販売をめぐり、東京国税局の税務調査による追徴課税事例が増えています。
新聞報道によれば、百貨店大手の三越伊勢丹や大丸松坂屋、アップルジャパン(米アップルの日本法人)などが、東京国税局の税務調査を受けて消費税を追加納税しています。
訪日外国人向けに商品を販売した際に、消費税の免税要件を満たさないものが多数あったことを指摘されたようです。
消費税法は、商品購入者が入国後6カ月未満の外国人であることや、商品を国外に持ち出すこと、化粧品などの消耗品は1回あたり50万円以下の購入であることなどを要件に消費税の免税販売を認めています。
しかし、スマートフォンや電化製品などには1回の購入金額に上限がないため、転売目的で一度に大量の商品を購入する外国人がいるなど、制度の抜け穴をつく取引が問題になっていました。
訪日外国人が増加するなかで、外国人による高額の商品や高級ブランド品の不適切な購入がなくならなければ、免税販売した店側が消費税を負担しなければならず、お店としては大変な痛手です。
国は、2022年10月に、消費税の免税制度を悪用した不正還付の取り組みを強化するため、全国で初めて東京国税局内に消費税不正還付対策本部を設置しました。
同本部には専門の調査官など職員が100人以上所属して、不正還付の防止や迅速な徴収をおこなっています。
外国では、日本の消費税に相当する税金の免税制度は、出国時に免税額を払い戻すのが主流だそうです。
日本に比べると税金の払い戻し手続きが煩雑な半面、不適切な免税販売が起きにくいといわれています。
日本の免税制度は、お店のお客である外国人の申告に基づいてお店が手続きをおこないます。
国は、お店の過度な事務負担を回避しつつ、日本独特の免税制度が悪用されないように、制度の抜け穴をなくすことが急務です。