ビジネスモデルの変革
2024年春闘は大企業を中心に満額回答が相次いでおり、現時点の賃上げ率(連合)は5%を超えています。
このうち、中小企業の賃上げ率は4.5%で、企業規模を問わず、賃金引き上げの流れが生まれているといえます。
先週19日には、日銀がマイナス金利の解除を決定して、今後の関心は、物価見通しの上振れリスクが日銀の追加利上げ判断にどのように影響するのか、金融正常化の動向に注目が集まっています。
近年は、国際情勢の悪化に国内の恒常的人手不足や大幅な円安が加わり、多くの企業がコスト高に苦しんできました。
そうしたなか、自社努力の限界に達した企業が実施する価格引き上げへの動きに、顧客も仕方がないと諦めつつ、一定の理解を示し始めています。
一方、商品・サービスの値上げを実施した企業では、値上げ後も競争力を落とさずに収益改善が図れている企業と、値上げによる顧客離れで売上減少に苦しむ企業の両方が生まれています。
長く続いたデフレ時代には、あらゆる企業が自社の商品・サービスの値上げに苦しみ、効率化や省力化といったコスト削減努力によって競争力を維持してきました。
しかし、近年続く資源価格や人件費の上昇によって、自社努力でのコスト削減には限界がきています。
おそらく、当分の間は、国際情勢の変動と国内の人手不足、一定水準の円安定着と金融正常化の動きが継続します。
これから到来する緩やかなインフレ時代では、コストの価格転嫁ができない企業の生き残りは難しくなるでしょう。
これは、まさに日本の企業経営を、デフレ時代のビジネスモデルからインフレ時代のビジネスモデルへと変革させることを意味します。
インフレ時代を生き残るために自社のビジネスモデルをどのように変革すべきか、きちんと社内で議論すべきテーマです。