トランプ政策
トランプ大統領は、輸入品の関税を大幅に引き上げ、何百万もの不法移民を国外退去させようとしています。
これらは一見すると、外国企業との激しい価格競争から国内の企業を保護し、米国人労働者の雇用が不法移民に奪われないようにできそうです。
しかし、現実には、米国国内の企業の多くが、外国から商品、製品、部品、原材料を大量に輸入しており、それらの関税が引き上がれば、米国国内の販売だけでなく、外国への輸出でも価格競争力を失う危険があります。
とりわけ、グローバルサプライチェーンを構築している企業では、米国国内だけで同等のサプライチェーンを再構築することは容易でなく、国内委託先の品質・コスト・納期が自社に適合するか否かや、将来の政権交代時の政策変更にどのように対応するかなど、その実現に向けて数年単位の検討が必要となります。
また、米国人労働者に代わって危険な仕事や重労働を担い、比較的低賃金で働く不法移民労働者が数百万人単位で減少すれば、深刻な労働力不足が発生し、農業やサービス業などの労働集約型産業は立ち行かなくなります。
さらに、多くの外国政府が、トランプ大統領の関税引き上げに対する報復措置として米国からの輸入品の関税を引き上げれば、米国輸出産業の価格競争力は失われます。
トランプ大統領が米国国内の企業を保護し、米国人労働者の雇用を守ろうとする政策は、皮肉にも、米国国内の企業の価格競争力を低下させ、米国人労働者が物価の高騰に苦しむ姿を映し出すように見えます。