税収上ブレと財政健全化

令和4年度の一般会計の税収は71兆1374億円となり、3年連続で過去最高を更新しました。

税収が70兆円を超えるのは初めてで、新型コロナ禍からの企業業績の回復によって法人税収が伸びたことや、物価高の影響により消費税収が増えたことが主な理由です。

日本の財政は、過去3年間の新型コロナ対応で悪化の一途をたどり、既に普通国債の発行残高は1000兆円を超えています。

税収が増えているとはいえ、国の財政を赤字国債の発行で賄う状況に変わりはありません。

日本の財政健全化には長い時間がかかることが予想され、国の歳入と歳出の問題を地道に解決していく努力が不可欠です。

国の歳入は、 経済を成長させて税収を増加させる以外に、所得税や法人税、消費税をどのように改革していくかが重要です。

所得税は、所得が1億円を超えるにつれて税負担率が低減していく実態や、所得がない、あるいは、所得が少ない高資産家に税負担を求めるのかどうか、難しい問題と向き合う必要があります。

法人税は、現在の税率が世界的に高水準なため、更なる税率引き上げよりも、これ以上税率を引き下げないことが優先課題になります。

税目の中で最も税収増加が期待できそうなのは消費税です。

日本の消費税は世界的に税率が低く、国民や企業に対して広く公平な課税が可能なため、将来の歳入増加にあたっては税率の引き上げが有力な選択肢です。

一方、国の歳出は、防衛力の増強や異次元の少子化対策などで支出が大幅に増える見通しです。

国は、財源の一部は歳出改革によって捻出すると表明していますが、改革では歳出の3分の1を占める社会保障費の取り扱いが重要になります。

世代間の不公平を是正する公的年金制度の見直しや医療費・介護費の負担見直しなど、国の社会保障制度そのものを時代に適合するように改革していく必要があります。

税収は今後いつ下ブレするかもしれません。

安易な歳出拡大を続ければ、国の財政を健全化させようという本気度が疑われることになります。

国は、万が一にも過度の緊縮財政や金融引き締めが将来起こらないように、国債の発行残高を減らす努力を怠ってはなりません。

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