経営セーフティ共済の活用

5月の大型連休をきっかけに、行楽地や繁華街に人出が戻り始めました。

コロナの終息にはもう少し時間がかかりそうですが、Go To トラベルの再開準備が進むなど、経済正常化の動きがあるのは朗報です。

これから多くの会社が、事業の本格再開に向けておカネを使う場面が増えていきます。

ただ、ウクライナ情勢や物価高などは、中小企業に限らず、大企業や中堅企業でも経営の不安材料になる場合があります。

今後の状況次第では、こうした会社で急激に業績が悪化する事態も懸念されるので、自社だけでなく顧客や取引先の資金繰りにも注意が必要です。

突然の倒産と貸倒損失

顧客や取引先が突然倒産したために、もらうはずの売上が入金されなかったり、代金支払い済みの商品が納入されないことがあります。

このとき、回収できない売上代金や支払い済みの商品代金は、税法ではどのように取り扱われるのでしょうか。

法人税法では、会社が所有する金銭債権について、その回収ができないときの損失をかなり限定しています。

具体的には、つぎのような場合に該当しないと、貸倒れの損失として認めていません。

・会社更生法などの法律上の債権の切り捨てがあった場合

・所有する債権の全額が回収できない場合

・継続的な取引の停止後1年以上たっても債権の回収ができない場合

見てのとおり、どの場合にも該当するまでには、それなりの時間がかかります。

そのため、回収できない売上代金や支払い済みの商品代金は、すぐには損失とならないことがわかります。

したがって、決算あとには通常と同じだけの税金を支払わなければならず、ただでさえ苦しい資金繰りが余計に苦しくなります。

日頃、金融機関との借入取引がない会社では、顧客や取引先の突然の倒産で経営がピンチにならないように、何らかの準備をしておくことが必要です。

経営セーフティ共済

経営セーフティ共済は、中小企業の顧客や取引先が倒産した際に、連鎖倒産や経営難に陥るのを防ぐための共済制度です。

この共済に加入すると、顧客や取引先が倒産して売上代金などが回収できない場合に、その回収できない金額の範囲内であれば、支払い済み掛金の10倍(最高8,000万円)までの借り入れをすることができます。

また、共済の掛金は、支払った金額の全額が法人税法の損金になるので、節税効果があります。

顧客や取引先の突然の倒産に対する備えとして、一考の価値があります。

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