節税という名のお金の無駄遣い
会社の業績がよいと経営者は節税を考えたくなります。
一生懸命に努力して稼いだ利益に、みすみす多額の税金を支払うのがもったいないと感じるからです。
もちろん、必要な経費を少し前倒しするくらいの節税であれば、まったく問題はありません。
しかし、利益がでると、知らず知らずのうちに節税するための経費を使うようになるので、注意が必要です。
節税の種類
税務上の節税は大きく2種類あります。
1つは、課税の繰り延べというもので、税金の支払い時期を遅らせるものです。
もう1つは、税額控除で、本来支払うべき税金を減額するものです。
どちらも、税務上の制度として認められていて、課税の繰り延べの代表例は、一定の固定資産を売却したときの利益の繰り延べ(圧縮記帳)や、一定の機械設備を取得したときの償却費の前倒し(特別償却)があります。
また、税額控除では、試験研究費を増やしたときや雇用を増やしたときに、一定割合の税金を減額できる制度があります。
ただ、多くの場合、経営者が考える節税は、こうした税務上の制度ではなく、費用を支払って利益を圧縮する手法をいいます。
節税という名の無駄遣い
費用を支払う節税は、簡単でわかりやすく、とても便利です。
ですから、業績好調で思ったよりも利益がでるようなときは、注意が必要です。
通常、費用を支払う節税は、せいぜい1期分だけ、税金の支払を遅らせる効果しかありません。
たとえば、今期は利益がでそうなので、予定していた経費の実施を前倒しして、費用を増やしたとします。
当然、税金は費用が増えた分だけ減りますが、来期も同じように経費の実施を前倒しできるかどうかは不明です。
利益がでると、どうしても財布のひもが緩くなります。
節税のために、知らず知らずのうちに経費の支払を前倒ししようとしがちです。
将来の投資だから、いずれ必要だからと、理由をつけて経費を支払うことにつながります。
支払った経費は、それ以上の金額を売上として回収できなければ、業績は悪化します。
節税への思いが強すぎると、経費の無駄遣いにつながるため、注意が必要です。
まとめ
会社の業績がよいと経営者は節税を考えたくなります。
利益がでると、知らず知らずのうちに節税するための経費を使うようになるので、注意が必要です。