粉飾決算
業績赤字や資金流用などを隠ぺいした粉飾決算による企業倒産が増えています。
粉飾決算を行なう会社は、必ずしも株価や業績に強いプレッシャーを受けている、上場企業やベンチャー企業ばかりとは限りません。
普通の中小企業でも、銀行からの新規融資を受けられるようにするためや、既存融資を引き上げられないようにするために、どうにかして業績をよく見せようと、粉飾に手を染めてしまう場合があります。
粉飾決算の恐ろしいところは、一度でも粉飾に手を染めてしまうと、次の決算、そのまた次の決算へと、粉飾を繰り返さざるを得なくなることです。
また、粉飾決算が発覚しなければ、時間とともに嘘をつくことの罪悪感や粉飾が見つかることの恐怖感は薄れていきます。
やがて、粉飾決算を行なうのが当たり前となり、業績の回復や資金繰りの改善に本気で取り組む気持ちはなくなっていきます。
一度始めた粉飾決算は、よほど業績や資金繰りが良くならない限り、元の正常な決算に戻すことは困難です。
また、一度でも粉飾決算を行なってしまうと、粉飾の手口が巧妙であればあるほど、会社の本当の実力と見せかけの実力の区別がつかなくなり、正しい経営判断を下すことが難しくなります。
中小企業が決算で大きな赤字を出したり、何年も赤字の状態が続くと、銀行融資の審査が厳しくなります。
しかし、そのようなときに経営者が選択すべきは、決して一時的な黒字を装う粉飾決算ではなく、従業員や銀行とともに全力で業績回復や資金繰り改善に取り組む、経営者の勇気と覚悟を示すことです。